・・・微小血管減圧術(顔面痙攣の手術治療)・・・ |
手術は、神経を圧迫している血管を神経からはがし、圧迫を解除するというものです。つまり、神経を切るわけではなく、血管を切るわけでもない。ましてや脳をきるわけでもありません。われわれはこのジャネッタ法をさらに改良した方法で多くの患者さんにこの治療を行っており、現在では耳のうしろの皮膚を3〜5cmほど切開し、頭蓋骨に十円玉くらいの穴をあけ(もちろんあとで骨はもとにもどしてふさぎます)、手術用顕微鏡のしたで精密に血管をどかす手術をすることにより顔面痙攣を完治させています。この手術の最大の問題は聴力障害で、数%から10%程度の患者さんで聴力の障害がでる可能性があるといわれています。これは顔面神経と聴神経が非常に接して走っているためです。しかしわれわれは手術中に特別なイヤホンで音を患者さんに聴いていただき、出てくる脳波を記録するという方法で手術を行っており、過去4年間、永続する聴力障害の合併症はおこっていません。顕微鏡の操作は細かいものですが、なれたものがおこなえば2時間とはかかりません。通常、翌日の夕方
から食事が可能であり、8〜9日目に抜糸をすれば翌日には頭も洗え、早い人は抜糸翌日にも退院可能です。
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| 顔面神経を圧迫していた血管を剥離して移動し、顔面神経にたいする圧迫をとりのぞきました。神経と血管とのあいだにクッションをはさむ方法もありますが、クッション法ではクッションが堅くなったり、癒着がおこったりして再発の可能性が高いと思われ、われわれはこの「血管移動法」を用いています。
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参考サイト:東京大学医学部脳神経外科藤巻高光のホームページ |